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Makiko Mizuno
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大津地裁 要通訳裁判員事件傍聴記
 去る10月26日から、大津地裁で滋賀県で初の裁判員裁判が行われました。被告人はブラジル人の強盗傷害事件で、ポルトガル語の通訳がきました。私は2日目の午前中に傍聴に行きました。滋賀県で初めての裁判員裁判ということで、マスコミの注目を浴びており、傍聴も抽選になることは予想がついていました。9時までに並んで整理券をもらい、その後抽選ということでしたので、9時10分前に行ってみますと、すでに長蛇の列です。並んでいる人たちの多くは学生アルバイトで、新聞社に雇われたもようです。9時の締切り時には、結局140人くらいおり、47席をめぐっての抽選となりました。私の整理券の番号は55番。「ゴー、ゴー」、「行け、行け」、きっと大丈夫だ、と思いましたが、案の定、3分の1の確率をクリアーして、みごと、傍聴券を獲得しました。
 
 その日の公判は、証人尋問と被告人質問でした。通訳の訳し方に関心のある私にとっては、一番のハイライトになる部分です。どんな質問があり、通訳がどう訳したか、出来る限り正確にメモしていき、後で分析するのです。

 裁判ではポルトガル語の通訳人が2人ついていましたが、タイプの違う通訳でした 証人尋問を担当した一人目の通訳人は、メモをほとんど取らず、証人の顔を凝視しながら、ほとんど一言ごとに訳していこうとしていました。そのため、全体の流れがわかりにくいものでした。もしかしたら、証人の言葉が非常にわかりにくく、そうするしかなかったのかもしれません。

 被告人質問を担当した通訳人は、逐次通訳の基本に則り、きちんとメモも取り、1つの発話がいくら長くなっても、質問と答ごとに訳していましたので、とてもわかりやすい通訳でした。ただ、言い淀みが非常に多く、被告人自身がそのような話し方をしていたのか、通訳だけがそうなったのかわかりませんでしたが、ためらいながらしゃべっているという感じが気になりました。

 法廷通訳言語分析は私の研究テーマですが、言い淀みの多い通訳がついた場合、裁判員の持つ印象が変わるかどうかについて実験したことがあります。その結果、普通に訳した場合と言い淀みが多い場合では、後者のほうが被告人の知性や証言の信頼性に対する評価が低くなることがわかりました。今回の裁判で、そのような訳し方が裁判員の印象や判決に何か影響を与えるかどうかを知ることはできませんが、やはり、要通訳裁判では見過ごしてはならない要素だと、あらためて思いました。

 
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Makiko Mizuno
Diary


名古屋の面白い食べ物
シロノワール


名古屋は奇妙な食べ物が次々と発明されることで有名です。日常的な食事になっている「あんかけスパゲティー」、お土産として売られている「味噌キャラメル」、コンビニでも売られている「きしめんアイス」(ネギやなると、シイタケまで入っています)、有名な「喫茶マウンテン」の「甘口イチゴスパゲティー」と、枚挙に暇がありません。

上記のうち、「あんかけスパゲティー」は、食べてみるとごく普通に受け入れることができる味です。トマトベースの餡に具材が入っていて、それを太麺にからめて食べるのですが、イタリアンというよりは、ちょっと中華風の趣です。麺に餡をかけて食べるという発想は、「あんかけうどん」から来ているらしく、これも名古屋発という説もありますが、真偽は定かではありません。

私が生まれ育ったのは岐阜県の東濃地方ですが、そこは岐阜県でありながら名古屋文化圏なの
で、子供のころから「あんかけうどん」を好んで食べていました。濃口醤油をベースにした餡のだし汁に、大きなシイタケ、ネギ、なるとなどが乗っていました。現在は京都に住んでいますが、ここにも「あんかけうどん」が昔からあることを知りました。ただし、薄口醤油のだし汁の餡に生ショウガをすり下ろしたものが乗っているだけで、具材が何もないそっけなさに、少々唖然とさせられました。ちなみに、京都では、シイタケなどが乗っているあんかけうどんは「のっぺい」と呼ばれており、別物として扱われています。

名古屋はまた、喫茶店のモーニングサービスでも有名ですが、朝の時間帯に、コーヒーなどの飲み物を頼むと、自動的にトーストや卵などが付いてくるというシステムで、まさにモーニング「サービス」です。全国どこにでもある「モーニングセット」などとは異なり、飲み物の値段だけで、実際にサービスとして食べ物が出されるのです。

このモーニングサービスでも知られている老舗コーヒーショップのチェーンに「コメダ珈琲」があります。名古屋だけでなく東海地方のいたるところに店舗がありますが、最近では東は東京、西は大阪まで店舗を広げています。噂では全国制覇を目指しているとか。

このコメダ珈琲のメニューも結構ユニークですが、一番人気なのが「シロノワール」というデザートです。温かいデニッシュにソフトクリームが乗っていて、シロップをかけて食べます。ネーミングが、何とも言えません。「白」と「ノワール(黒)」を合体させているのでしょう。色の濃いデニッシュに白いソフトクリームが乗っているからなのか、初めての人は、出てきたものを見て、「何だ、こりゃ」と目を白黒させるからなのでしょうか。

「シロノワール」は直径15センチだそうですが、これはけっこう大きく食べごたえがあります。(小さいのもありますが)。その大きさと言い、形状と言い、そこはかとない田舎臭さを漂わせているところが、何とも魅力的な食べ物です。名古屋らしさを味わうにはもってこいの一品です。

 新奇性と意外性にあふれる食べ物を見ると、過去の伝統と常識をくつがえして日本の頂点に立った織田信長や豊臣秀吉の生まれ故郷が名古屋であるのも、もっともだと感じます。「シロノワール」を奉じたコメダ珈琲店の天下統一の野望も、あながち夢ではないでしょう。



Makiko Mizuno
エッセイ(一般)


大阪で初の要通訳裁判員裁判傍聴記(2)
 ポーランド人被告人の裁判員裁判2日目は、弁護人の被告人質問で始まりました。40分間で終了し、15分の休憩の後、検察官の反対尋問が始まりました。かなり長い時間がかかり、1時間近く経過したところで、裁判長から、質問が長くなりすぎることに対する懸念が述べられました。でも、検察官はあと20分ほどであると言い、それに対して通訳人もまだ大丈夫だと表明したことから、休憩なしで、最終的には75分ほど続くことになりました。

 この反対尋問の通訳は、とてもスムーズとは言えないものでした。通訳人は非常に日本語がうまい人でしたが、75分間もぶっ続けで通訳していると、当然疲労が蓄積してきます。日本語も所々、わかりにくくなってきましたし、全体の流れにとどこおりが見られ始めました。

 検察官の質問の後半部分は、被告人の応答がだんだんおかしくなってきました。質問に対する答えの焦点がずれていくのです。例えば、被告人に対して「あなたは元々供述調書の内容をしっかり理解していたからこそ、色々訂正を申し立て、最終的に内容を確認の上で署名しましたね」という質問に対し、被告人は、自分がどういう部分を訂正したのかとか、重要なのに無視されていたことを調書に入れてもらったとか、英語で行った部分は内容が確認できないのでサインしなかったとか、延々とその訂正の経緯について語り続け、この部分に大変な時間がかかりました。もし、調書の内容が間違っていると言いたいのなら、「訂正できなかった部分がまだたくさんありました」とか、「早くサインするように言われ、訂正する勇気がありませんでした」、というような方向に持っていく方が自然です。どうも、聞かれているポイントが通じていなかったようです。

 また、この事件の争点は、恋人を殺すと脅迫されて、仕方なく覚せい剤を日本に運んだという被告人の主張が正しいかどうかですが、この恋人と、彼女を殺すと脅した人物が知り合いであったかという質問に対し、被告人の答えは全く的外れでした。それぞれの人物について、自分との関係を色々と語り始めたのです。検察官が苛立って、もう一度同じ質問をしましたが、やはり同様の現象がおこりました。3回目に同じ質問をしてはじめて、「いいえ、知り合いではありません」という答えが返ってきました。

 これは、明らかに通訳の誤りです。日本語は主語が省略されるので、通訳者はいつもそれを補って考えます。その習慣に基づき、今回の通訳人は、「AとBは知り合いでしたか」を「(あなたは)AとBとは知り合いでしたか」の主語が省略された形だと考えてしまい、ポーランド語で「あなたは」という主語を補って訳したのでしょう。普通に日本語で「AとBは知り合いでしたか」と言った場合、実際、状況によってはそういう意味になります。そう考えると、被告人のおかしな応答も十分納得がいきます。

 問題は、検察官の質問全体を通して上記のようなやり取りが続いたことから、被告人は質問にストレートに答えず、はぐらかそうとしているのだという印象を与えてしまったのではないかということです。実際、法廷で聞いていると、そのように感じました。イエス、ノーで答えられるような簡単な質問にどうして普通に答えないんだろう、と思った人も多かったのではないかと思います。通訳が微妙に的外れであると、そういうやり取りになるのはごく当り前なのです。

 私は通訳人を責めているのではありません。大変な緊張を強いられる通訳を、一人であれだけ長時間させられれば、誰でもうまく訳せなくなります。非常に実力のある通訳者でも、疲労には勝てないのです。もし通訳者に責任があるとすれば、裁判長が「まだ大丈夫ですか」と尋ねた時に、「もう少しなら大丈夫です。」と、休憩無しに通訳を続けたことです。休憩は自分のためのものではありません。正確な通訳のためのものなのです。そして、裁判員裁判のように長時間かかる裁判では、通訳人は絶対に2人以上必要なのです。

 今回の裁判で、裁判官から、「聞かれたことだけに答えるように」という注意が、被告人に対して再三行われました。「聞かれたこと」と言っても、その内容は、通訳の介在によって、元々の日本語とは異なっているかもしれないことに、法律家が思いを至らせるのは難しいようです。
Makiko Mizuno
Diary


大阪で初の要通訳裁判員裁判傍聴記(1)
リストバンド
傍聴券


 今日、大阪で初の、通訳を必要とする外国人を被告人とする裁判員裁判が行われました。大阪初ということで、傍聴希望者が多いことが予測されたので、希望者は定められた時間帯に門のところに行き、リストバンドをつけてもらい、後で抽選結果が貼り出されるという形式でした。一緒に行った某先生の弁護士事務所の職員が8名動員され、必ず2人分は傍聴券が確保できるようにしていただいたのですが、結局、それほどの倍率もなく、数枚の傍聴券が不必要になるという結果でした。
 
 さて、裁判ですが、被告人は覚せい剤取締法違反等で起訴されたポーランド人で、ポーランド語の男性の通訳人がつきました。ポーランド語というのは、非常に珍しく、法廷通訳が必要な事件もこれまでほとんどなかったと思います。

 今回、争いは犯行の動機の一部しかなく、被告人の母親と恋人の嘆願書が法廷に提出され、情状酌量を訴えることに主眼が置かれていました。つまり、事件としては、比較的単純なものでした。

 通訳人は、冒頭陳述や証拠調べの手続きの間、前もって用意されていた原稿に沿って訳しているようでした。被告人はワイヤレス受信機のイヤフォンで聞いていました。今回は検察官も弁護人も、淡々と書面を読み上げるケースが多く、それほどパフォーマンスを意識した様子はなく、「シナリオ通り」裁判は進んで行きました。私は一応、すべてメモを取ろうと試みましたが、検察官たちの話し方は非常に早く、メモがまったく追いつきませんでした。通訳人に事前に原稿を渡さないと、絶対に通訳は不可能だったはずです。
 
 通訳人は1人だけでしたが、45分ごとくらいに休憩がはさまれました。でも、やはり一人でずっと訳すのは相当疲れることで、今日の通訳人も、おそらくかなりの疲労を感じていたと思います。また、あれだけの量の原稿を前もって訳しておかなければならないのだとすると、準備に非常に長い時間がかかったはずです。それに対する報酬については、いったいどうなっているのでしょうか。

 弁護人の被告人質問の場面は、その場で逐次で通訳が行われました、たぶん、前もって内容は知らされていたのだと思いますが、被告人の答えが弁護人の予想とは多少ずれたりしたところもあり、すべて予定通りにはいかなかったようです。この時も、私はすべてメモを取ろうとしていたのですが、30分もメモし続けていると、手は痛くなるし、激しい頭痛もし始めて、途中であきらめ、後は要点だけを取っていました。

 私の研究は、法廷での言葉の使い方に関するものなので、話した通りの記録が必要です。一言一句漏らさずメモすることは、本当に大変です。それに比べ、通訳メモは要点だけを取ればいいので多少楽ですが、それでも大変な作業だと感じました。やはり、原稿通りではなく、正確なメモを取りながらの逐次通訳が長時間入る裁判では、通訳人は2人以上必要です。

 今日は、通訳の訳し方に関する問題はほとんど何もありませんでしたが、「はい」と「いいえ」の混乱はやはり起こりました。「起訴状記載の事実に間違いはありませんか」と聞かれ、被告人の答えを通訳人が「はい」と訳したら、裁判長が「えっ?」と言いました。「間違いがある」という意味の「はい」だと、一瞬思ったようです。日本語では、否定疑問文に「はい」と答えますが、それと同じことが、英語等の言語では「いいえ」になります。つまり、今回の場合、「はい、ありません」が日本語、「いいえ、ありません」が英語などの言語の答え方です。ポーランド語がどちらのパターンなのか知りませんが、今日の通訳人が、日本語しては正しい言い方をしたにもかかわらず、裁判長が混乱してしまいました。外国人の通訳人が、少々なまりのある(非常にうまかったけれど)日本語で言ったので、裁判長は、それがなんとなく違うように感じてしまったのかもしれません。日本では、この「はい」「いいえ」の混乱は、いつまでも続く現象のようです。




 
Makiko Mizuno
Diary


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