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Makiko Mizuno
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大阪で初の要通訳裁判員裁判傍聴記(1)
リストバンド
傍聴券


 今日、大阪で初の、通訳を必要とする外国人を被告人とする裁判員裁判が行われました。大阪初ということで、傍聴希望者が多いことが予測されたので、希望者は定められた時間帯に門のところに行き、リストバンドをつけてもらい、後で抽選結果が貼り出されるという形式でした。一緒に行った某先生の弁護士事務所の職員が8名動員され、必ず2人分は傍聴券が確保できるようにしていただいたのですが、結局、それほどの倍率もなく、数枚の傍聴券が不必要になるという結果でした。
 
 さて、裁判ですが、被告人は覚せい剤取締法違反等で起訴されたポーランド人で、ポーランド語の男性の通訳人がつきました。ポーランド語というのは、非常に珍しく、法廷通訳が必要な事件もこれまでほとんどなかったと思います。

 今回、争いは犯行の動機の一部しかなく、被告人の母親と恋人の嘆願書が法廷に提出され、情状酌量を訴えることに主眼が置かれていました。つまり、事件としては、比較的単純なものでした。

 通訳人は、冒頭陳述や証拠調べの手続きの間、前もって用意されていた原稿に沿って訳しているようでした。被告人はワイヤレス受信機のイヤフォンで聞いていました。今回は検察官も弁護人も、淡々と書面を読み上げるケースが多く、それほどパフォーマンスを意識した様子はなく、「シナリオ通り」裁判は進んで行きました。私は一応、すべてメモを取ろうと試みましたが、検察官たちの話し方は非常に早く、メモがまったく追いつきませんでした。通訳人に事前に原稿を渡さないと、絶対に通訳は不可能だったはずです。
 
 通訳人は1人だけでしたが、45分ごとくらいに休憩がはさまれました。でも、やはり一人でずっと訳すのは相当疲れることで、今日の通訳人も、おそらくかなりの疲労を感じていたと思います。また、あれだけの量の原稿を前もって訳しておかなければならないのだとすると、準備に非常に長い時間がかかったはずです。それに対する報酬については、いったいどうなっているのでしょうか。

 弁護人の被告人質問の場面は、その場で逐次で通訳が行われました、たぶん、前もって内容は知らされていたのだと思いますが、被告人の答えが弁護人の予想とは多少ずれたりしたところもあり、すべて予定通りにはいかなかったようです。この時も、私はすべてメモを取ろうとしていたのですが、30分もメモし続けていると、手は痛くなるし、激しい頭痛もし始めて、途中であきらめ、後は要点だけを取っていました。

 私の研究は、法廷での言葉の使い方に関するものなので、話した通りの記録が必要です。一言一句漏らさずメモすることは、本当に大変です。それに比べ、通訳メモは要点だけを取ればいいので多少楽ですが、それでも大変な作業だと感じました。やはり、原稿通りではなく、正確なメモを取りながらの逐次通訳が長時間入る裁判では、通訳人は2人以上必要です。

 今日は、通訳の訳し方に関する問題はほとんど何もありませんでしたが、「はい」と「いいえ」の混乱はやはり起こりました。「起訴状記載の事実に間違いはありませんか」と聞かれ、被告人の答えを通訳人が「はい」と訳したら、裁判長が「えっ?」と言いました。「間違いがある」という意味の「はい」だと、一瞬思ったようです。日本語では、否定疑問文に「はい」と答えますが、それと同じことが、英語等の言語では「いいえ」になります。つまり、今回の場合、「はい、ありません」が日本語、「いいえ、ありません」が英語などの言語の答え方です。ポーランド語がどちらのパターンなのか知りませんが、今日の通訳人が、日本語しては正しい言い方をしたにもかかわらず、裁判長が混乱してしまいました。外国人の通訳人が、少々なまりのある(非常にうまかったけれど)日本語で言ったので、裁判長は、それがなんとなく違うように感じてしまったのかもしれません。日本では、この「はい」「いいえ」の混乱は、いつまでも続く現象のようです。




 
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