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2010-11-09

ベニース事件、控訴棄却

10月22日にベニース事件の控訴審の判決が出ました。予想通りの控訴棄却です。審理を通して、裁判所が通訳問題に対し、どのようなスタンスを持っているかがよくわかりました。

初日に弁護人が、控訴審の通訳人の質を確認するために、通訳人に対していくつか質問したいと裁判長に許可を求めました。裁判長は「その必要はありません。裁判所が選任した通訳人ですから、能力に問題はありません。」と言い切りました。裁判長のこのセリフで、この裁判の結果はすでに明白となりました。「裁判所が選任した通訳人に問題はない」ということは、この裁判の第1審の通訳人も裁判所の選任によるものであり、それも問題はないと暗にほのめかしているようなものです。すでに結論は出ていたのです。

通訳の正確性に関する鑑定書は、そのほとんどは「必要なし」「不適切」とされ、証拠として検討されることもありませんでした。何度も繰り返しますが、鑑定内容に対する批判があれば、他の専門家による鑑定を行わせ、法廷で通訳の正確性に関する科学的かつ実証的な鑑定論争を行うのが通常のあり方だと思いますが、それすら行われず、法律家の単なる「考え」に基づき、すべてが否定されました。

私たち「法と言語」の研究者がいくら研究成果を出しても、法律家が一切耳を貸さないのであれば、研究成果を社会に還元できません。これでは何のための研究なのかと、大変に落ち込みました。

取り調べの可視化の研究で大変著名な、成城大学の指宿信教授がこの顛末についてメールで以下の趣旨のコメントをくださいました。

司法の現実に向き合うのは一筋縄ではいかない。心理学者たちにとっても長い道のりだったが、足利事件のように15年前の鑑定が正しかったということが証明されることもある。気を落とさないように・・・。

大変心に沁みるお言葉です。少し希望が出てきました。




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プロフィール

Makiko Mizuno

Author:Makiko Mizuno
水野真木子
(MIZUNO MAKIKO)
金城学院大学文学部教授

若い時には英語とドイツ語の通訳ガイド、その後会議通訳者、そして司法通訳者を経て、今は大学で通訳や翻訳を教えています。
専門は司法通訳、医療通訳など、「コミュニティー通訳論」。暮らしの中での外国人の「言葉の壁」や「異文化コミュニケーション」の問題に取り組んでいます。
このブログでは、通訳問題を軸に、文化やことば、コミュニケーションについて語ります。

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